広島電鉄、100万都市広島の、陸の玄関口広島駅と海の玄関口広島港、中心市街地である八丁堀・紙屋町地区、そして世界遺産厳島神社で有名な宮島への玄関となる宮島口、人類が忘れてはならない負の遺産である原爆ドーム。これらを結ぶネットワークを構えている路面電車である。
近年、広島という都市自体が20年遅れぐらいで再開発の波に乗っかっており、様々な要因で地下鉄が不可能である現状、交通インフラとして路面電車の重要性が高くなっていくであると思われる。
この路面電車について、ちょっと不便だと思う点を、すぐにできる点、つまり土木工事など大規模な投資が必要にならないであろう点からいくつか指摘していきたい。
①広島駅5号線
広島駅は4つの系統が揃う路面電車全体としてみても屈指のターミナルである。この4つの系統の中で、5号線だけが専用の乗り場を持ち、他の3つの系統は共通の乗り場が用意されている。
さて、その5号線の独立した乗り場であるが、4つの乗車位置がある。線路に向かって左から、A B C Dと置こう
←猿猴橋町
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↑ ↑ ↑ ↑
A B C D
だいたいこんな感じになっている。右端が終点である。
5号線は3つのタイプの車両で運転されているのだが、それぞれ異なる乗車位置なのである。
まず連接車である。これはラッシュ時に輸送力を稼ぐための大型車両であり、AからDまでの4つの乗車位置が全て使われる。時刻表にも緑色で表記されており区別がつく。
次に単車である。これは日中時間に主に使われ、終端に詰めて停車する。つまり乗車位置が右側のCとDである。
2013年まではこの2タイプだけであった。そのため、通常はCかDに並び、次が連接車であると分かっている、あるいは連接車であった場合はAやBの乗車位置にも列ができるのであった。
しかし2014年2月1日、LEXという車両が運転開始となった。この車両、単車の置き換えを目論んでいるものの単車よりも4mほど車体が長いのである。そのため乗車位置がBとCという真ん中の二つとなってしまった。そして、これが都合が悪いことに電停に掲載されている時刻表で判別できないのである。
つまり現状、単車であるかLEXであるかの判別が事前に不可能である一方、乗車位置が微妙にずれているのだ。一応係員が次便がLEXである場合にポールなどを移動させて案内しているものの、このままでは混乱やトラブルが起きる可能性が否定できない。
対策として、単車の乗車位置をBとCにすることを提案する。これにより、乗客が基本的にBとCに並ぶこととなり、車種による乗車位置の不一致は解消することができる。また、連接車の場合でも乗車位置のラインどりを工夫することによりBからA、あるいはCからDと単車の乗車位置からスムーズに分散することが可能ではないかと思われる。各乗車位置の徒列を平滑化させることで、スムーズな乗降が期待できる。
②広島駅降車ホーム
次に同じ広島駅の降車ホームである。ここはいわゆる櫛形配置であり、1番線から3番線を挟み込むようにホームが存在する。そのうち一番JR駅寄りの3番線は先述の5号線乗車ホームとも接しており、原則として5号線は必ず3番線に入れなければならない。また、長さ上の制約から2番線にLEXや連接車を入れた場合3番線からの出し入れはできず、3番線に連接車のうち、特に長いグリーンムーバーを入れると2番線から出し入れできない。
と、なかなか制限が多い広島駅。なるべく早く降車を済ませるためにも集金係が早朝深夜を除き配置されており、乗車扉からの降車を可能としている。
その広島駅での降車を迅速に済ませる手法を提案する。それは、単車の場合1番線や2番線で両側の扉を開けて集金するということだ。
広電電車の単車には、進行方向左側の扉を開けるボタンの他、白島や広島港など始発電停のために進行方向右側の中扉のみ開ける機能が存在する。これを生かすというものだ。広島駅には集金係が基本的に2人いる。ホームに到着した単車は開けることができる全ての扉を開け、乗客は最寄りの扉からすぐに降りることができ、両側に構えた集金係が地上で集金業務を担うのである。櫛形のホームであり、それぞれの乗り場に集金箱を活用することができる。
ただし、この手法は連接車では使用できない。車掌が扉業務を担い右側を開けるためには車内を移動しなければならないことや、乗車扉が進行方向左側に2か所存在し、それぞれに集金係が配置されるためである。他、視覚上の安全性についても問題点がある。右側から降車した場合、利用者の目の前に見えるのは線路、その奥にJR駅であり、線路横断のリスクが高まる。
③ICカードリーダー
前の記事で述べたように、全扉降車が一部車両(LEX含む1000形)で始まった。これにより、当該の車両では乗車リーダーが水色、降車リーダーが黄色に塗られることとなった。
だがしかし。それだけではデザイン上問題があるのではないかと思う。当該車両の、その中扉のリーダーだけ塗り分けられているのである。現にルールが浸透しておらず乗車の際に降車リーダーにタッチしエラーが出て降車客の妨げとなる利用者、あるいはその逆も散見される。
改善策は簡単である、当該車両以外の全部の車両の全部の扉で乗車リーダーを水色、降車リーダーを黄色にしてしまえばいいのである。デザインの統一というものは大きな利点が存在する。日常的に利用する場合、潜在意識的に乗車の際は水色という概念が定着し、仮に乗車の際に黄色い降車リーダーをタッチしようとすると違和感を感じるようになるのである。刷り込みという意識が大事である。
ここからが本題である。
こんな細かいところまで広電電車のことを考える大学4年は全国でも私を除けばほとんど存在しないと思われる。もし会えるのであれば会いたいものである。
しかし、電車事業のこんな細かいところまで考えている人材に対し、なんと不採用にする会社があるらしいのだ。これは企業側としては大きな損失ではないだろうか。まして、これだけ考えることができるということは、一般論として愛社精神も高いことが容易に想像できる。愛社精神を持つということは、将来十数年において離職するリスクの無いということである。そのような人材を獲得しないということは失策ではなかろうか。
私はこれによって会社の見方が変わることは無いのではあるが、今一度考えてほしい。これが本当に今後十数年に対して合理的な選択であったのか。それとも失敗であったのか。
まだ方向転換をすることができる。そう、よくよく考えるのである。
連絡は待っている。もし連絡が来た暁には、他の予定をキャンセルしてでも三度東京から乗りこみに行くつもりだ。そんなこと言ってるからだぞ