新しい風に乗って

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2025GW訪欧記01:赤道まで南下してフランクフルト空港へ向かう

2025年のゴールデンウィークのこと、自身2年ぶりとなるヨーロッパへの渡航をした。本来は昨年のGWに渡航する予定だったが、諸般の事情で流れたため、その代替の渡航でもある。

始まりはいつもの如く関西空港である。テレワークで仕事を定時に終わらせ、あらかじめパッキングしてあった荷物を背負えばもう旅行準備完了である。これらを家から持ち出して1時間以上かけて関西空港へ。勝手知ったるアホほど遠い道のりだ。難波では運悪くラピートを掴めず、じゃあ仕方がない、ちんたらと空港急行で向かうべきか…と落胆していたが、空港急行向かい側のホームには和歌山行きの特急サザンが停車していた。しかもボロくさい10000系ではなくサザンプレミアム12000系である。実はこの車両には乗ったことがなく、時間的に余裕があるということもあり泉佐野まではこのプレミアムの世話になった。泉佐野まで座席指定車を満足した後は、あと2駅を本来難波から乗るべき空港急行に揺られた。

実は2年前の渡航時の写真である。もはや出発ロビーの写真すら撮影していない。

関西空港に到着した。この日乗るのは過去3度世話になったシンガポール航空623便である。この便は関空を23時過ぎに出発するという、会社勤めに優しいスケジュールの飛行機だ。空港に着いた時点では出発の3時間以上前であり、カウンターは開いてすらいなかったがセルフ端末で搭乗券を発券し、そのまま保安検査を通過した*1。しかし機械で発券した搭乗券を見るとボーディンググループ5と記載されていた。一応、スターアライアンスゴールドメンバーであり、グループ2として搭乗可能ではあるが、機械で出す分には優先搭乗を踏まえた搭乗順にはなっていないようだった。

万博を見越したリニューアルがほぼ竣工したこともあり、2024年末のマカオ旅行時よりも保安検査と出国審査のレーンは存分に増えており待ち時間は短縮していた。しかし保安検査のオペレーションは悪かった。クルーレーンに一般待機列の客を流すのは分かるが、その流していく客を待機列先頭ではなく途中から引っこ抜いていた。前の人間が荷物をちんたらトレーにのっけている姿を指をくわえて見ているなか、10人ぐらい後ろの人間がクルーレーンに流されて保安検査の通過をしていくのがとにかくむかついた。

無事に出国後、無駄に歩かされるようになった免税店街を通過した後にようやく搭乗ロビーへと至る。せっかくなのでリニューアルで新しくできたラウンジにお邪魔することにした。これはANAラウンジやサクララウンジ(JAL)といった航空会社が自前で運営するラウンジではなく、空港会社が運営して航空会社に貸し出す共用ラウンジである。前記のラウンジ同様にアルコール飲料や食事が提供される。

スターアライアンスゴールド保持者はビジネス・プレミアムエコノミー搭乗者などと同様にKIX Lounge Kansaiに入ることができる。隣にPremiumラウンジも設置されているが、そちらはファーストクラス搭乗者や、ANAで言えばダイヤモンドメンバーなど、最上級クラスの皆様用であるため利用資格は無い。JALのいわゆるJGCメンバーだと何故かあっちのラウンジを指定されているようだが、ぶっちゃけ歪である。あのエミレーツビジネスクラス搭乗者ですらPremiumには入れないのに、そういう変なことはしない方が良いと思う。

内装の感想としては、広いというのが第一印象だった。遅い時刻で出発便が限られてくるという要因も無いわけではないだろうが、そもそもスペースが広いため気にならない。食事や酒についてもそこそこの種類が提供されており、ラウンジとして申し分ない。今後ヨーロッパまで身体を洗えないこともありシャワールームも使用したが、とても清潔だった。

バケモンもいる

9V-SCTという機体

搭乗口はラウンジのエスカレータを出てすぐの21番ゲートだった。頃合いを見て向かったところ、既に623便の機材はスポットに留置してあった。これまでと同じくB787-10である。そう時間のかからぬうちに搭乗が始まり、グループ5までゆっくり待って搭乗した。シンガポールまでは夜間のフライトである。ほとんどが睡眠でトイレに向かう可能性も低いことから窓側席を抑えておいた。3-3-3配置で、通路と自分の間に2人が存在する。この2人の座席についてある液晶には繁体字が映り込んでいたが、この便は台湾も香港も経由しない便である。日本に住んでいるのだろうか?

今回、623便の機内で過ごすにあたって以前の反省を踏まえて2つほど事前に仕込んだものがある。1つ目はネックピローで、これは単純に首元を安定させて座席で快適に寝るためのものだ。この便に限らず、他の深夜フライトなり夜行バスなりでも首の置き場に困っていたが、荷物になるからという理由で購入を躊躇っていたものになる。人生初の座席夜行から10年にしてようやくネックピローを買って持ち込んだ。これで睡眠が改善すると期待していた。そして2点目は機内Wi-Fiである。シンガポール航空の会員(KrisFlyer)の場合、機内で無料Wi-Fiが使用できる。私はANAマイレージプログラムで、マイルの積算もANAの方が都合がいいのだが、どうやらシンガポール航空の会員として登録しつつ、マイルだけ別のプログラムに加算することが可能なようだ。今回はシンガポール航空のメンバーとして搭乗した。なるほど、だからグループ5で乗ることになったのか。

深夜2時の機内食。角煮が旨かった。

これら2つを仕込んで乗った623便はすこぶる快適だった。離陸直後こそインターネットは使えないが、安定飛行に入ってしまえば通信が可能。メシを食ったらポチポチネットを見て、頃合い見て就寝。普段の生活と同じではないか。これは良い。首も安定している。

…ただ、現地着は5時前である。正味3時間も寝ることはできず、寝不足状態で着陸態勢になった。

何度も見たぞ

雲が時々光り窓が水滴に濡れる中、久しぶりにチャンギに放り出された。今回のトランジットはおよそ6時間である。市内に出るにしては早朝すぎて電車が動いておらず、始発を待つとちょっと心もとない時間だ。かといって空港併設の商業施設JEWELも開いていない。こんなときに空港ですることといえば、飯と睡眠である。ロビー内で適当な軽食を摂取し、機内で寝れなかった分を補充することにした。ただ、しっかり寝れる椅子で寝てしまうと飛行機を逃して大変なことになるかもしれないし、そもそも同じ目的の人間が夜明かししており空いていない。ターミナルを徘徊しつつも、すこし座面のやわらかく完全に横にはなれない椅子を発見し、そこで仮眠をした。深く眠ることは到底不可能だが、瞼を閉じて脳を休めるぐらいは可能だ。

保安検査開始時刻となり、我先にと保安検査を通過。搭乗口へと向かった。ここからドイツはフランクフルト空港までも引き続きシンガポール航空、12時間超をエコノミークラスで過ごす苦行だ。事前にアップグレードの勧誘メールこそ来ているがプレミアムエコノミーへのアップグレードは5万円。貧乏性のぼくにはおいそれと手出しできる金額ではなく見送った。インボラアップグレードとか無いかなぁと思っていたが当然そんなものは無かった。あれ遭遇してる人は正直羨ましい。

9V-SKPという機体だった。写真とは別のA380

機材はエアバスA380、総二階建てのでかい飛行機である。四発機だ。

大抵の飛行機はエンジン2つの双発機であるが、この双発機は故障のときにエンジン1台で飛行することを想定し、それを可能とするために大きなエンジンを採用する。一方で四発機は故障しても残りの3台で緊急着陸まで飛べばよく、そこまでエンジンを大きくする必要がない。外側のエンジンは機体から離れた場所にあることも相まって四発機は双発機と比べると段違いで静かなのである。前回のヨーロッパ渡航で乗ったところその静寂性に驚き、今回もA380を指名買いした。

席は3-4-3配置の真ん中4列の通路側を指定した。トイレ等に出やすく、また隣の客が出る回数が低い席である。前回は3の通路側を手配したが、窓側2人が出る時に椅子を立つ必要があり、失敗だった。4の通路側であれば、隣人だけを気にすればいい。そこにいたのは白人の婆さんで連れと席がバラけている様子だった。少なくとも12時間座席を侵略してくるようなジャンボサイズじゃないので勝ちだ。

機内食(豚)

そして離陸してしまえば長い長い昼間のフライトである。これはまあ辛いが飯と睡眠と映画と文字書きのローテーションで乗り切った。コナンの映画をしっかり見た。機内Wi-Fiは本来使用できるはずではあるが何故か使用できず、ヨーロッパ上空になってようやく機長から詫びの放送があった。せっかく準備したのに…

戦友

フランクフルト空港に到着した。前に出発で使ったときと同じ六角形のターミナルに着いた。時間が違うのでANAは止まっていないが、奥の方にはJALが止まっていた。さらにその奥は韓国のLCCティーウェイ航空が止まっている。

LATAMが止まっていた。南米の航空会社で日本ではなかなか見る機会のない会社である。
長い通路を抜けてイミグレーションへ。通路の所々には非EU諸国から来た人間向けの端末が未稼働の状態で設置されていた。これはETIASというVISAとは違う入国制度が近い内に開始されることがアナウンスされており、それを見越した端末のようだ。次に来るときはきっとこの端末を操作することになるだろう。手数料がかかるので普通に嫌だが…

www.etias.co.jp

EU諸国民+一部の国は自動ゲートですいすいと入国するが、日本含むそれ以外の国民はイミグレーションに並ぶ必要がある。30分ぐらい並ばされた。今回は諸般の事情で往復の航空券を別取りしているため、一応出国用のeチケット控えを手元に用意していた。滞在日数なり行先なり質問されるのかと思っていたが、eチケットの提示を求められることも口頭で何か聞かれることもなく無言でシェンゲン入国スタンプが押された。ええんかそれで。

 

案内に従って真っ直ぐ進むと2年前に見た出発ロビーへとたどり着いた。そして偶然にもANAカウンターの前を通過することになった。前回は帰国時にANAの飛行機をうっかり見てしまったため、直行便に乗れず経由便で帰る自分が鬱になってしまったが、今回はまだ旅の始まりである。「お〜ANAだ〜」ぐらいの気分で通り抜けた。

 

続きは以下。

setoutivrm.hatenablog.com

*1:オンラインチェックインを実施すればモバイル搭乗券での搭乗も可能