前回の続きである。オタクにしては珍しく、普通に観光する。ただこの人間は電車以外にカメラを向けない性質があるらしい。行った場所の写真が見つからない。
コロアン島とタイパ島の真ん中を全て埋めて作られたコタイ地区には、カジノやショッピングセンターが併設されたリゾートホテルが林立している。いわゆる「IR」というやつだ。これらの施設は宿泊者以外にも門戸が開かれており、立派な観光スポットになっている。コタイ地区は元々マカオでカジノをやっていた事業者の他、あのラスベガスにホテルを構えている事業者もこのマカオに進出しているらしい。ラスベガスに行くのはまず渡航の時点で金がかかるので、マカオで手を打つというのは一つの戦術かもしれない。少なくとも香港経由ならそこまでお金もかからない。
コタイの景色である。手前側にそびえるのはイタリア、ヴェネツィアのサンマルコ広場にある鐘楼を模した建物。奥に見えるのはフランス、パリのエッフェル塔を模した建物である。パリとヴェネツィアが仲良く隣接しているのがマカオの降義士なところである。ホテル名称で言うと、手前が「ザ・ベネチアン・マカオ」、奥が「ザ・パリジャン・マカオ」となっており、運営元は同じラスベガスの会社とのことだ。(ちなみにシンガポールのマリーナベイサンズも同一会社が運営しているらしい)
そして道路を隔てた反対側にはIHGグループのリゾート「ザ・ロンドナー・マカオ」が存在する。ウェストミンスター寺院とビッグベンを模した建物だ。ロンドンとパリが対峙するこの道路はドーバー海峡とも言ってもいい。地下にトンネルは無いが、歩道橋はあった。きっとユーロブリッジだ。
ちなみにこれは本国イギリスの逆光ウェストミンスター寺院である。本物よりもビッグベンはスリムになっている気がする。
外もすごいが中も当然すごい。先ほどのザ・ベネチアン・マカオに入ってみた。
本家ベネチアを模して室内に運河がある。時折ゴンドラが通過し、運河の両側には様々なブランド品だの何だのが立ち並んでいる。日本人的には豪華なショッピングモールという印象だ。
上を見ると人工の青空がある。無骨な天井にするぐらいなら…と考えると結構粋だとは思うが、東京で遊んだことある人だったらお台場のヴィーナスフォートみたいだなあという印象を持ってしまうのではないだろうか。僕は持った。いや、あっち閉館しちゃったんだけど。
すこし歩いてウィン・パレスというホテルの前に来た。この手前の池ではウォーターショーが30分に1回ぐらいの超高頻度で実施されている。結構な発砲音が近くのホテルまで響く。それでいいのか。
もう一つこのホテルのおかしなところは、この池を周回するようにロープウェイが用意されており、ホテルのメンバーシップに参加していれば無料で乗れるという。なんと太っ腹なことだろう。どこから金が出ているのかと思ったが、普通にこのホテルにもカジノが併設されているので、その金に違いない。
夜はこれである。この景色を見ながらディナーというのは一度ぐらいはやってみたいとは思うが、貧乏性なので落ち着かないんじゃないかと思う。多分宝くじに当たったとしてもこういうホテルには泊まらないんじゃないかな。
ザ・パリジャンのエッフェル塔は夜になると光り輝いていた。こちらも音響効果でバカほどうるさかった。ちなみにこのエッフェル塔もレプリカとはいえ、上に登ることができるらしい。
ザ・パリジャンエントランスの噴水である。ドーム状の天井に描かれた壁画がすごい。うまく切り抜いて写真を取ればフランスに行ってきたとだますこともできるんじゃないだろうか。
こちらは建物内に入らなかったが、スタジオシティというホテルである。その名に違わず、ハリウッドをモチーフにしているようだ。真ん中の8の文字の部分はなんでも観覧車になっているとのこと。全く悪意は無いのだが、どうしても道頓堀のドン・キホーテを想起してしまうのが悲しい。
そんなこんなで夜までコタイを徘徊し、ホテル近隣まで戻ってきてこの日は終了した。飯は確か夕方ぐらいにザ・ベネシアンのフードコートで食べて、そのままホテルでスナックを食べた気がする。
次の日はマカオ半島側を中心に観光した。
ボーダーゲートに来た。マカオと中国大陸間の出入境管理をする最大の施設である。マカオの観光客、そして労働者の多くもここからやってくるという事情もあり、宿泊したホテルもここまで無料バスを出していた。他のホテルも同様に無料送迎バスを出しており、ここはマカオ最大の玄関口であるとともに、マカオ最大のバスターミナルでもある。乗合バスではないが…
当然ここを通り抜けると中国大陸に行ってしまう。施設だけ見るとのことで、足早に次の施設へと向かった。
ボーダーゲートからMGMマカオ行きの送迎バスと、MGMマカオからMGMコタイへの送迎バスを乗り継いでマカオタワーに来た。(何故か写真はない)
だいたい230mぐらいの場所に展望デッキがある。マカオを一望できる何のこともないタワーであるが、このタワーから下に向かってバンジージャンプができるようである。その飛び込み台の様子が展望デッキ内のディスプレイに映し出されていた。飛び込み台は展望台の上層にあるようで、ディスプレイから消えた人間が目の前を高速で落下していくというのはちょっと恐ろしい光景である。(着地点にも同じディスプレイが設置されており、こちらではディスプレイから消えた人間が目の前に降ってくる姿を見ることができる)
バンジーの他にも、展望デッキの屋外を周回したり、展望デッキからさらに先の先端まで登るといった数々のアクティビティも用意されているとのこと。さすがにやらなかった。
再度バスに乗ってMGMマカオに戻ったが、その道で香港ドルの札束を持って宝石店に入っていくおっちゃんを見かけた。きっと大勝したのだろう。これになりたい人生だった。
マカオ半島にて少し坂を登り、ドン・ペドロ5世劇場に来た。この劇場はアジア初の西洋風劇場とのことで、これもまた世界遺産である。
客席には入ることはできず、入口から望むだけであるが、かなり綺麗に残されている印象だった。劇場が舞台のアイドルコンテンツを趣味の一つにしていることもあり、ちょっとだけワクワクした。
近隣の建物を何個か巡り、少し遅めの昼食として折角ならとポルトガル料理を食べた。ぼくは飯に無頓着で全てを同行者に任せていたのだが、スペイン料理のように海鮮をふんだんにつかった美味しい料理であった。会計を見てびっくりしたが。
この日は観光とお土産探しが半々ぐらいの日であり、あまり名所は巡っていない。以降はお土産探しにマカオ半島内を徘徊し、裏路地みたいなところを歩いたり、寺院を訪問したりしているがこれまたカメラにおさめていない。
最後にホテルに戻り、カジノに興じた。といってもマカオのレートは高く、ルーレットやバカラといったディーラーを相手にするゲームではすぐに手元の資金が吹っ飛んでしまう。そのあたりは雰囲気だけ味わい(というよりぼくの場合は既に韓国で経験している)スロットマシンに興じることにした。ぼくは日本でギャンブルはしないタチではあるが、その理由に本物のカジノでギャンブルを楽しんだからというものがある。実際にディーラー(バニーではなかった泣)のいるカジノを見てしまえば、日本でギャンブル沼に嵌ることは無いだろうと思っている。
最終日
最終日は朝の飛行機に乗って帰国するだけである。ホテルを5時前に出発し、あらかじめ手配してあった送迎(ぶっちゃけ日本における白タク)を掴んで空港までやってきた。海上に建設された誘導路がカッコイイ。
大阪行きは往路と同じくバス搭乗、そして同じ機体だった。初日と最終日は移動日であることを踏まえると実質丸2日程度のマカオ滞在だったが、一通りしっかりとめぐることができた。もし次に来ることがあれば香港からバスで向かうとか、あるいは中国大陸から歩いてやってくるとかをやってみたい。
…次に来るときはきっと電車ネットワークも広がっているだろう。ぼくがカジノで溶かしたHKDを原資にして。
終