2024年11月台湾渡航の話。今回からはさすがに写真の容量を減らすこととする。4000×3000で写真をのっけたところではてなブログの毎月の画像容量を無駄に食うだけだし。
これもまた前回の続きである。
最初はこれである。24時間もたっていない。
高雄で迎えた朝は普段の生活と同じように携帯のアラームで目が覚めた。窓のない部屋ではいくら朝を迎えたところで部屋に外の光が入ることは無く、ただ時間だけが朝を知る術であった。簡単に身なりを整えて部屋から出て、6階の窓から見える景色が明るくなっていた事でようやく朝を実感することとなった。
この宿は朝食がついていた。そこまでお高い宿でもなく、また無料朝食ということもあって簡単な点心と粥ぐらいであったが空腹を満たすことはできる。セルフサービスでとったこれらの食材を腹にかき入れ、そこから30分もしないうちにチェックアウトをした。この日は高雄から台北まで移動する予定である。ゆっくりしているとそれだけで自由に使える時間が減ってしまうのである。
駅に向かう経路上に見かけたセブンイレブンへ行き、ペットボトルのお茶を購入した。もちろん買うお茶は日式、あるいは無糖と書いてあるものだ。うっかり甘いお茶を買ってしまうと辛い思いをする羽目になるし、実際にこの翌日しっかりと辛い思いをすることとなる。その他、店舗によりけりなのかもしれないが、ここのセブンイレブンではホットスナックやコーヒーのノリで生ビールを売っていた。さすがに朝一番にビールを注入するのは躊躇したが、コンビニで気軽に生ビールを買えるというのは良い世界だと思う。日本でもこれはやってほしいところだ。
歩いて美麗島駅に向かった。以前の台湾旅行時に世話になった壁の薄い宿(中央大飯店)はそのままの姿で駅前一等地に鎮座していた。
駅ホームへ向かう前にコンコースを見渡していると気になる自販機があった。どうやら高雄捷運のお土産物を売っており、ポストカードやキーホルダーなどをそこそこ良心的な値段で買うことができるようだ。(コンコース内にはもっとしっかりしたグッズショップがあるが営業時間外である)
不買可惜、高捷TOP.1、必BUY推薦と、日本人にも十分伝わるキャッチフレーズが並ぶ中、一番右は可愛萌萌組と。そんなキャッチフレーズでいいのかと問いたくもなったが実際一番右を買う層というのは「あるから買う」という行動原理が働く層なんだろう。知らぬ間に100$紙幣2枚が無くなり代わりに可愛萌萌組の明信片を手に持っていた。開けてみると5枚セットで春夏秋ハロウィンハロウィンの絵が含まれていた。日本には四季があるが台湾には四季が無く、秋の後はハロウィンを2回やって春になるようだ。
昨日に乗車したのは駅を南北方向に走る紅線だが、今日これから乗るのは東西方向の橘線だ。紅線のホームは島式だが、こちらは対向式ホーム。改札も方面別に分かれていた。ただし紅線ホームを経由すれば両方面のホームは行き来可能だ。
京阪電車の広告が改札横に掲示されていた。実際台北では日本のいろんな鉄道会社が様々な場所で広告を出しているのを見たことがあるが、まさか高雄にも出しているとは思わなかった。京阪電車駅構内広告だ。
哈瑪星
以前に来た時は捷運は西子湾駅、ライトレールは哈瑪星駅と別の名前であったが、いつのまにやら同じ名前に揃えられていた。この哈瑪星という言葉の由来は日本語で、埠頭へ向かう貨物線(浜線)がそのまま現地でもハーマーセンと呼ばれるようになり、後になって漢字が割り当てられたとのこと。
その地名の由来の通りで、この駅周辺は高雄港駅とそれに付帯する貨物線が広がっている。といってもこれらは既に用途廃止になっており、ただっぴろい敷地にはこれまた用途廃止になった十数両の車両が点在し公園として、また一部はライトレールの軌道に転用されている。前回訪問時は本当に貨車ばっかり、曇天で車両の錆も目立つ墓場のような世界だったがこの日の訪問はそれとはずいぶんと違った印象を受けた。
撮影機材の問題もあるが、差は一目瞭然だろう。
いつのまにか旅客車両も展示されるようになっていた。これはDR2900形という特急ディーゼル車。電化されていない台東方面への自強号として島内を爆走していた日本製の車両だが、その台東方面が電化され、特急電車に置き換えられて退役した車両だ。実際、そのバリバリと走る姿を目にしていたので、ちょっと悲しい。
CT259号蒸気機関車、日本のC55形と同型車両とのこと。これは以前からいた車両だが、いまにも動き出しそうな程に綺麗に整備されている。
…この記事を書くにあたって色々と調べていたところ、どうやら訪問後1か月もたたない11月30日に写真の線路を使って観光トロッコを毎週末走らせるようになったとのことだ。
毎週土日祝(当然台湾の祝日)にディーゼル機関車+貨車の組み合わせで走らせているところ、第1土曜日の朝10時の便に限ってSLを頭につけて走らせるんだとか。実際に火を入れて蒸気の力で走らせるわけではなく、あくまでも後ろに押されるだけの車両はあるが、動画で見る限りでは煙突から発煙はさせている様子。次に高雄に行くときはぜひとも見てみたいものだ。
保存されていた貨車の中で一番好きな見た目の奴。かわいい。でも車掌としてみれば蚕部屋のような狭い場所に詰め込まれて可哀想だ。
捷運の駅(ここは紙を流しても良かった)でトイレを借り、ライトレールに乗って東方面へ向かうことにした。ここは以前の訪問時も乗った区間ではあるがその東の方向にちょっと行ってみたい場所があったからだ。港湾倉庫の路地裏みたいなところをしばらく走り、高架で海を越える。その先の光栄碼頭電停で下車。
すげぇ見た目でインパクト抜群の建築が遠目に見えた。これは高雄流行音楽中心、音楽ホールとのことだ。近年できたものかと思っているとどうも前回訪問時に既に建物は存在していたらしい。この人間はその時は電車に夢中でこの沿線の施設には一切気づいていなかったらしい。お前の目は節穴か?
街路樹が倒れていた。おおらかだなあ。
もう少し歩くと目的地に着いた。先に言ったようにライトレールには海を越えるために高架区間がある。その高架から地上に降りる場所である。地上区間は芝生を生やして(日本では鹿児島が著名)騒音を抑えているが、高架区間ではその方法が不可能なようでシェルターで線路が覆われている。その境目になる場所でもある。両方向で来た電車を撮っていくが騒音問題に配慮されているせいで直前まで分からない。
(汗だくになったというのもあるが)何枚か撮って満足した。さらに歩こう。
先の音楽ホール、正面から見ると集合体恐怖症の気がある自分にはちょっと辛い。枯れたヒマワリが結構苦手な人なので。
もと来た電停の方向を見ると高雄の高層ビル群が立ち並んでいる光景が目に入ってきた。遠近法を無視して奥からその存在を訴えてくる一番高いビルは高雄85大樓というそうで、高雄で一番なのはもちろんのこと、あの台北101が完成するまでは台湾で一番高いビル、ついでに言えば日本のどのビルよりも高いようだ。しかしいろいろあって上半分は閉鎖中で、展望台的な施設にも備わっているものの入ることはできないとのこと。それでいいのか?
電停にたどり着いた。後ろの予定も詰まっているのでそろそろ高雄を去ろうと思う。ライトレールで昨日も世話になった美術館駅へ、そこから台鉄で新左営駅へ移動した。
さて新左営まで移動したからには乗るのは当然台湾高鐵である。長距離も十分に安いが、1区間自由席であれば日本円にして700円程度で乗ることができる。時間を節約していきたいので存分に活用していかなくてはならない。
カードで切符を買い、改札を通り抜けて駅ホームへ。
隣接する台鉄の線路を莒光号と思われる列車が走り去っていった。時間に余裕があるのであれば当然余命宣告されているあっちを選ぶ。いや、乗りたい。次に行くときはもう走ってないかもしれないし。
続きはこれ