新しい風に乗って

過去の思い出を書くためのもの。VRM成分はありませんよ。

長万部

かつて1度だけ、駅寝をしたことがある。普段はアウトドアと縁の無いような生活をしている私が、1度だけ。

2015年の8月末、急行はまなすに乗って私は渡道した。往路は自由席。当時のはまなすは自由席こそ混んでいた(特に外国人が多かった)ものの、B寝台や指定席はそこまで混んでいなかったような気がする。青森を23時台に出て、進行方向左の窓側、津軽線を進み新幹線の高架をくぐって青函トンネルへ。(今回から続きを読む機能を入れることにしました)

 

そして1時前後、函館についた。機関車交換を行った。

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停車時間も長く、そのほとんどは機関車交換の儀式に費やしたが、もちろん座席を反転しなければならなかった。

折り返して今度は進行方向右の窓側、函館を出発するとどんどん勾配を上り、左手には新幹線の工事中の景色を含め北斗市の景色が一望。今では北海道新幹線が開業したため定期列車の多くが通らなくなってしまった、通称「藤城線」を走行していることがわかった。その走行音は客車特有の軽快なものであった。自由席で発電用エンジンはついているものの出力が変化する気動車に比べたら格段におとなしいものであり、そして睡眠に陥った…

停車のショックで駅ごとに起きるのだが、それ以外は熟睡であった。

しかし、降りなければいけない駅の手前では当然のごとく起きることができた。

 

3時。長万部駅着。

 

なぜこの駅で降りたのか。それは山線に乗りたいがためであった。

函館本線長万部~小樽。通称山線は、特に本数の少ない区間であり、その日のうちに留萌線に乗ることを考えると朝の始発に乗らなければならなかった。その始発に間に合わせるために、真夜中の3時に長万部の駅に降り立ったのである。

 

 

深夜の長万部は、静寂に包まれていた。

駅前で耳を立てても、聞こえるのは波の音、そして時折通る自動車の音であり、それ以外の、生命的な音は何も聞こえなかった。そして、この場所で3時間、一夜を過ごすことになるのである。

事前情報として、駅の近くで夜の時間を潰せる物があるのかを調べていた。無かった。コンビニでは時間を潰すには短すぎるうえ、駅から離れている。こんな深夜に徒歩で歩けば職質されかねない。エネルギー補給は行わず、そのまま眠りにつくこととした。

 

駅前のトイレを使い、戻ると駅に人がいる。声をかけられて話をすると、どうやら車で駅巡りをしているようだった。

「駅寝ですか?」「はぁ、一応」「がんばってくださいねー」

そして車を出し、去っていった。

 

 

私も眠りにつかなければならない、待合室の椅子に横になり、鞄を枕にして上着を被る。しかし椅子がプラスチックであり、当然痛い。セパレートされてないからまだましだったものの、体にくる椅子だった。

そして目を閉じしばらくすると、突如轟音が鳴り響き、待合室が揺れる。

何事かと思い目を開け外に出てみると、なんと貨物列車の音であった。周りが静かであるため、貨物列車の音がひときわ大きく聞こえ、そして建物を揺らしてきたのだった。そしてこれがそこそこ本数がある。さすが函館本線である。3度ほど目が覚めてしまった。

 

 

 

 

 

 

おはよう。

 

 

 

 

朝6時ごろ、今までとは違う力強いエンジン音がするので外に出てみる。すると目の前でキハ150の2両編成が加速していき、去っていった。

 

それが乗るはずだった山線の始発だと気づくのに1分はかからなかった。