新しい風に乗って

駅を訪問したり保存車を訪問したりする方のブログです。

202305GW訪欧記③:列車を逃す。ハノーファーへ向かう。

前回の続き

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最初から見たい人はこれ

setoutivrm.hatenablog.com

 

国際列車ユーロスターに乗ってロンドン・セントパンクラスを去り、途中接続に失敗しながらもハノーファーに向かう話。

 

ユーロスターは基本的にロンドン~パリの系統と、ロンドン~ブリュッセルアムステルダムの系統が存在するらしい。ドイツに向かう都合、アムステルダム行きを掴んでブリュッセルまで乗ることになった。

コンセントは椅子の下にあった。

座席は進行方向の順向き、それも左側があてがわれた。ヨーロッパの列車は座席を回転できることが少なく、だいたい半分の椅子は進行方向逆向きである、ここでは運が良かった。そしてイギリスは左側通行なので左側の席であれば景色が対向列車に邪魔されることもない。つくづく運が良かった。乗車率は高く、隣の席も埋まった。

 

この日(4/30)から5月4日まではユーレイルパスを使用した。このパスはヨーロッパ域内の鉄道に乗り放題になる優れもの、有効日数や乗車できるクラスも選ぶことができる便利な切符だ。今回はケチってユース割で2等のみ、5日間有効ということで243ドルだった。ヨーロッパの長距離鉄道は飛行機のように変更不可の早割が充実しているとのことで、あらかじめスケジュールを厳密に決めて数日だけ列車に乗ると言った用途だとあまり得ではないかもしれない。

 

www.eurail.com

また、このユーロスターを含め一部の高速列車は別途料金が必要になる。日本で言う「乗車券のみ有効」に近いが、これが国によってまちまちで、別途料金を払ったうえで予約することが必須な列車もあるし、そうでない列車もある。また、今回はユーレイルパスをデジタル版で買った。アプリ上で完結しており検札の時も画面を見せるだけで良い。そのうえで圏外の時にも画面を表示できるのは偉い。日本のモバイルチケットは圏外だと切符を出せなくなることが多いのでここは素直にヨーロッパの勝ちだ。

 

11:04 ロンドンを出発。

窓は汚いがロンドン郊外を200km/h程度で走行していた。ヨーロッパでトラックを走らせるEuro Truck Simulator2というゲームがあるが、だいたい同じ景色だった。電波こそ掴むことができているものの、GPSを掴むことができず、いま自分がどの辺にいるのかが分からなかった。

ユーロスターのハイライトといえばドーバー海峡をくぐるユーロトンネル。ここは何かしら見ておきたいと思っていたが、位置を掴めないのであと何分後にトンネルに入るのかが分からなかった。ただ、上記ETS2の知識と事前調査から以下のことを把握していた。

ユーロトンネルでの最高速度は160km/h

・トンネル前後にカートレインの積み下ろし施設がある

・この施設が結構でかい

これをもとにそれらしい風景を探し、なんとなくそれっぽいものを視認。さあトンネルだと期待したところで、なんの変哲もないトンネルに突入。何か装飾でもあるのかと期待していたので拍子抜けだった(フランス側にはあるらしい)

ものの30分少々でユーロトンネルを抜け、フランスに入国した。外の景色の違いはあまりわからなかった。フランスは道路こそ右側通行であるが、鉄道は左側通行らしい。トンネルを抜けても依然として対向列車に邪魔されずに景色を拝めるのは救いだ。

 

13:26 Lille Europe駅に着いた。時差が1時間あるので正味ロンドンからは1時間半だ。地下か掘割か分からないが、少なくとも景色は壁にふさがれていた。そしてここから新たに乗り込んでくる客もちらほらいた。前回の記事で書いたように乗客は既にロンドン側でシェンゲン圏内への入国を済ませている。つまり列車が実際にシェンゲンに入ってしまえば域内だけの列車(パスポートコントロールのない列車)と同じ扱いにできるのだろう。ライナー列車に途中から乗車できるようなものか。

 

リールはまだフランスであるが、次の停車駅はベルギーの首都であるブリュッセル。この区間内に国境があるはずである。例えば平行道路に2国の国旗が掲揚されていたりという光景を期待したが、そんなものは無く田園風景を走るうちに知らぬ間にベルギーに入っていた。事後報告でWelcome to Belgiumと端末の国際ローミング機能が拾ってくれたぐらいだった。

 

14:05 Brussel-Zuidに着いた。当然到着もパスポートチェックはなくそのままコンコースに出ることができる。上の駅名はオランダ語表記。フランス語だとBruxelles-Midiになる。この2つが混在しているのがややこしい。

ここから乗り継いで次に乗るのは14:25発のフランクフルト行きのICE 17便。駅のコンコースに降りて電光掲示板から発車表示を見る。この電光掲示板も種別と行先と時刻と乗り場が書いてあるものの肝心の列車番号が記載されておらず、しかも全方面が同一の表示板に並ぶので難易度が高かった。

列車を探しているうちに奇妙なことに気づいた。種別表示にフランクフルトどころかICEの文字すらないのである。人間、例外処理を受けてすぐに行動できるはずもない。そんなのができる人間は最初からその例外を期待している奴だけだ。

 

 

このeurailアプリで登録したはずのICE17便が存在しないのだ。

で、3Gという大駅にあるまじき電波を掴みながら駅の時刻表やグーグル先生、色々調べたところ、以下がわかった。

 

・Brussel-Zuid 14:25発からBrussel-Nord 14:15発に変更

 

は?無理じゃん。

 

しかし救いはある。この日も20分ぐらい遅れているらしく、Nordまで移動すれば間に合うかもしれない、とりあえず有り合わせで目の間にいたブリュッセル空港行きの列車に飛び乗ってNordへ向かう。

Brussel-Zuid 14:23→Brussel-Nord 14:32 IC2311

 

結論から言うとダメだった。

 

悔やんでも仕方がないので代替となる列車までNord駅で1時間以上の時間つぶしとなった。駅舎の写真も撮影していないのは多分相当に焦燥していたのだと思う。

地下に路面電車がいるので覗くことにする。地上部分は工事中であった。駅施設のリニューアル中だろうか

プレメトロという、将来的な地下鉄移行を前提とした地下線区らしい。ホーム長さも余裕を持たせており7連接の車両も楽々縦列停車ができそうなほどだった。日本でもこれぐらいのことをやってほしい。特に京都。

そしてこの駅で電車を撮っていたら金が無いから出してくれと言う乞食が来た。こんなんがいては海外出羽守なんかできない。

 

飯を食って時間を潰しながら、地上のホームで列車を眺めていた。ホームが多く全てを見ることはできないが、列車も数分間隔で来るので飽きないものだった。駅放送も充実していて、仏語と蘭語を中心に列車によって英語だったりドイツ語だったりが流れていた。行先で分けているのだろうか?

 

これはAM96形というらしい。なかなか見た目がキモい。連結するとこの運転台周りのゴム部分が隣の車両と密着し、黄色い部分が通路になるそうだ。何を思ってこの構造にしたのだろうか。

 

これは乗ってきたユーロスターと同じ型。374形というらしい。実はこのデザインはあまり好きではない。ライトがね…

 

白い車体に赤い帯、DBという淫夢営業のようなロゴマーク。ようやくICEが来てくれた。来てくれてありがとう。

Brussel-Nord 16:15→Köln Hbf 18:15 ICE317

ドイツ国鉄の高速鉄道、ICEシリーズの中でICE3は前展望ができる。せっかくなので最前部の席に座ることにした。今回座席を指定していないが、座席上のディスプレイに何も記載が書かれていない場合は誰も指定していない椅子なので、切符を持っていれば座ってもいいことになっている。このあたりはJR東日本の座席未指定券制度と似たりよったりである。私の右前に座っていたおばちゃんは、椅子に座ったかと思いきや食事をとり始めた。指定をしているのかと思いきやその後本来の指定席を持っている兄ちゃんがやってきて他の席に移っていった。他人の席で飯を食うのはさすがに肝が据わっていると思う。

肝心の前展望はというと、スモークがかかっており2割ぐらいしか見えなかった。

 

リエージュ近郊、Viaduc de Renoryという鉄橋からの景色。

 

ブリュッセルを出てさあ高速新線を走行するのかと思っていたところ、そうでもなかった。この区間にはしっかり高速新線があるはずなのだが、このICEはそれを避けるように小駅を通過しながら右に左にと小刻みにカーブをしていく。また、本来であればLiège駅を通るはずだが、この列車は通らず、代わりにAngleur駅に停車していた。

なんとなく列車の時刻が変わっていた理由もわかった気がした。本来は高速新線を経由するはずが、工事か何かで通過できなくなり、代わりに並行する在来線を走行する、所要時間が伸びるがドイツ側の時刻を変えたくないのでベルギー側を前倒しし、そのうえでZuid駅発からNord駅発に区間短縮、きっとこういった道理だろう。

この区間を出てしまえば所定のICEと同じ時刻。高速新線をかっ飛ばしていた。

ドイツに入って最初の駅、Aachenに着いた、毎度のこと国境は分からなかったが、ローミングの通知に加え、ベルギーの黄色い列車からドイツの赤い列車に変わるので分かりやすかった。この駅から右側通行になるほか、乗務員も交代した。いままではベルギーという外様の列車だったが、ようやく自国の列車になる。引き続き快走してくれるに違いない。

 

乗務員交代で10分遅れた(笑) ドイツ鉄道の洗礼を受けた。

 

Köln Hbfについた。HbfというのはHauptbahnhof、中央駅の意味がある。大屋根のついたいかにもヨーロッパらしい駅だった。ここで乗り継ぎ、ハノーファーへ。前の列車が10分遅れ、次の列車がどれだけ遅れるのかもわからないので駅外に出ることは止めた。

 

2番線に列車が着く予定だが、この液晶は壊れていた。3番線のICEは40分遅れみたいだ。かわいそう。

 

Köln Hbf 18:48→Hannover Hbf 21:28 ICE655

来たのはICE4という車両だった。初期のICE1やICE2の置き換えに使われているらしい。ここで私が乗り込んだのは2等車の一番端、ビストロ車である。

「eine Bitburger 3.5 bitte.」と第二外国語で習った知恵を全力で引き出して生ビールにありつけた。窓の外の景色が200km/hで流れながら立席で飲むビールは美味しかった。日本もはやく新幹線にビストロと給湯器と電子レンジをつけて生ビールを販売しなさい。缶ビールではダメだ。

 

座ることも可能ではあるが、無座もいいものだと思ってデッキに立つことにした。デッキにも液晶ディスプレイがついており、現在の速度や次駅到着時刻、地図が表示されるので情報には困らない。

 

今回訪問する候補に入れていながらスケジュールの都合で泣く泣く手放したヴっパータール空中鉄道の軌道を車窓に確認した。川の上を走る懸垂式モノレールというのは日本で見たければ葭川公園に行けばいいが、やはり本家本物もじっくり見たいものである。

 

Hannover Hbfに着いた。21時を回っていたが日没が20時過ぎだったのでそこまで夜間のようには見えなかった。

www.booking.com

駅北の宿にチェックインした。会議室とかを持つ立派なシティホテルで、最安値のプランで手配したにもかかわらずしっかりと広い部屋があてがわれた。日本以来の暖かいシャワーを浴びることもできた。

ここまでの衣服を洗面台で濡らし、多少洗剤とともに手もみをし、部屋のハンガーと持参のハンガーで乾燥させた状態で寝ることにした。リュックサックを7kg以下に抑えるには着替えを洗いながら使うしかないのだ。

 

翌日はハノーファーの町を散策する。広島との友好関係を確認し、古い電車を見ることになる。

 

つづき

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