新しい風に乗って

駅を訪問したり保存車を訪問したりする方のブログです。

202305GW訪欧記②:ロンドンを楽しむ。そして去る。

前回の続き。

setoutivrm.hatenablog.com

ヒースローについてとりあえずロンドンを楽しみ、翌日ロンドンを去るまでの話。

 

日本から24時間かけてロンドンに着いたとはいえ、まだヒースロー空港、シンボリックなロンドンではない。というわけでまずは市内(便宜上の呼称)に出なくては話にならない。

ヒースロー空港から市内に電車で出るためには3通りの手法がある。一つ目はヒースローエクスプレス。一番速くて一番高い。二つ目は地下鉄ピカデリー線。一番安くて一番遅い。今回選んだのは第三の選択肢、まあまあな速さでまあまあなプライスのエリザベス線だ。ヒースローエクスプレスと同じ線路を使いながらも、道中の各駅に停車するもので、いわば京成のアクセス特急といったところだろうか。もともとはヒースローコネクトという路線だったものを市内区間の延伸、運営事業者を移管したものだそうだ。

 

写真はHeathrow Terminals 2 & 3駅。円形断面のシールドトンネルが非常に美しいが、立ち番が結構厳しく青い線より内側で待てと言ってくる。ホームが広いわけではなく、通路を確保するためだろう。

 

路線図。左下の枝分かれ部分が3駅すべてヒースロー空港の駅だった。ちょうど列車が来たので乗り込んだ。

…後から調べた話だが、ヒースローエクスプレスは早割の割引率が非常に高く、航空券を買った段階で手配しておけばエリザベス線よりも安かったようだ。

 

車内。空港アクセスと直接関係あるかどうかは分からないが、JR東日本の近郊型電車のようにクロスシートの椅子下が空いている。衝立はどことなく相鉄っぽい。

 

ヒースローの空港を出ると地下線から地上線へ。他の路線と合流し、ヒースローエクスプレスに追い抜かれ、はたまた複々線の向こう側にインターネットで見た電車とすれ違うのを楽しみながらもロンドン市内へと順調に向かった。

 

Paddington

綺麗な地下駅だった。きっとこの駅も都心方面に延伸する際に地下化したのだろう。しっかりホームドアもついていた。ここでベーカールー線に乗り換える。乗り換えの地下通路は細長く、また曲がりくねって見通しの悪いものだったが、その通路すら丸屋根であった。

ベーカールー線を待っていると、いかにもロンドン地下鉄といった狭そうな電車が来た。1972形というらしい。ドアが側面に収まらず屋根に回り込んでいるのが面白い。地上区間だと雨が車内に入りこんできそうな気がする。そしてonebridge行きというのは終点まで乗れば国立駅ぐらいに着けるのだろうか?

 

車内放送を録音しようとしたが、隣の車両との貫通窓(非常用で客は通行できない)が全開で一切の放送が聞こえなかった。

 

Maida Vale

2駅進んでMaida Valeで下車。ロゴマーク(ラウンデル)のデザインが少し違う。UNDERGROUNDのNからNまでが小さく、上下にラインが描かれている。後で調べると旧デザインだった。レトロコンセプトで敢えて残しているのかもしれない。

 

少し東方面に歩くと、世界一有名な横断歩道がある。

ビートルズのCD「Abbey Road」のジャケット写真で使われた横断歩道だ。ビートルズのファンが世界中からやってくる”聖地”であるが、ロンドン市内の一般道に過ぎず、また交通量もしっかりあるところで有名な構図を撮ろうとしているので民度は悪かった。早朝に来るべきだと思う。ちなみに私はビートルズのファンというわけではない。

 

横断歩道を渡りさらに東へ進むと別の地下鉄駅に出る。St. John's Woodという駅にたどり着いた。それにしてもすごい駅名だ。聖ヨハネの森、日本だと源じいの森だろうか。

ジュビリー線で南下しWestminster駅で下車。駅ナカのサンドイッチで空腹を満たしつつも駅の外に出たら見事なまでの観光客。ビッグベン、そしてウェストミンスター寺院の最寄り駅だった。他人のことは言えんが観光客と露天をかいくぐってテムズ川に渡る橋の中間に来ればなんとビッグベンは逆光。こちらも早朝に来るべきだった。

 

橋を渡った後、テムズ川に沿って北上。再度川を渡ってEmbankment駅

ヴィクトリア線とサークル線が同じ線路で走っているが、交互に来るというわけではなく3:1ぐらいでヴィクトリア線が来た。車両はS型というらしい。先のベーカールー線と違い車体も大きいが開業自体はこちらの方が早いらしい。先にこっちができて、後から向こうの路線を作る(とはいえ100年以上前)にあたってコスト削減のためにダウンサイズしたようだ。日本で言えば大江戸線だ。

 

Mansion Houseで降り、またもテムズ川を渡り町を歩く。有名な橋が見えてきた。

遠めにふと見ると、橋の中央部に人も車もいない。これはもしかしてと思って近くまで歩いてみると予想は的中。大型船の通行の為に橋が跳ね上がった。そして天気も非常によく雲一つない青空、非常に良いモノを見ることができた。

ちなみにこの橋はタワーブリッジと言われている。決してロンドン橋ではない。

 

タワーブリッジを渡り、近くの駅Tower GatewayからDLRという路線に1区間だけ乗り、宿へと向かった。

小型の電車が数編成連結して自動運転で走るのはなかなか刺さる路線だった。

 

隣駅、Shadwellから徒歩圏内の宿に到着。メゾネットタイプのアパート1室を借り上げ風呂、トイレ、キッチン共用の宿泊所にしていた。フロントというものもなく、事前にメールで鍵を受け取る方法の連絡を受けていた。一応デポジットが必要と聞いていたのだが、無人では渡しようも無かった。

www.booking.com

 

部屋に荷物を投げ、とりあえずはシャワーを浴びようと最低限の荷物を持ってバスルームへ。しかしお湯の栓を回していくら待っても温水が出る気配が無く、足首を濡らしていた。

 

結局温水が出ることはなかった。足を綺麗にして就寝することにした。

 

ロンドンは高緯度の都市だ。21時ごろになっても外が暗くなる気配が無かった。光を決して通さないようないかついカーテンの存在意義が分かった。

 

 

翌朝、相当疲れていたはずだが6時過ぎには目が覚めていた。昨日の教訓で朝から動けば観光客も少ないと見込み、早めに宿を出た。結局デポジットはいらなかった。ヒースローで用意したポンドの意味がなくなった。

 

昨日乗ったDLRは始発まで1時間ほどあるらしく、同じくShadwellから出ているオーバーグラウンドに乗車。名前の割に乗った区間はほぼ地下だった。

WhiteChapelで乗換、King's Crossへ。

King's Cross駅はハリーポッターで有名な9と3/4番線はこの駅でロケが実施された駅だ。そのためグッズショップとその隣にPlatform 9 3/4の記念碑があった。確かに人は少なかったが店は開いていなかった。

ちなみに実際の駅は9番線と10番線はいわゆる対向式ホームの形状で、真ん中に突っ込んでいく壁は存在しない。真実は4番線と5番線の間の壁に突っ込んでいくことになる。

 

このKing's Crossの駅と隣接してSt Pancras駅がある。ここからユーロスターに乗ってブリュッセルへと向かう予定だが時間が早すぎるので再度地下鉄に乗って数駅ほど巡る。

Farringdon

良い感じに線路がうねる駅だった。いわく、この駅は世界初の地下鉄として開業した区間であるらしく、その開業は1863年。日本で鉄道が開業したのが1872年なのでそれよりも古い。ロンドン地下鉄の歴史というのは恐ろしいものである。

 

Moorgate

現役の2線の他に、恐らく当駅止めが使うであろう2線と、さらにその先に未使用の2線がある贅沢な地下駅だった。この一番左に映っているのが未使用の2線で、現役の2線は右奥だ。地下にこういうモノを見える形に残しておくのは非常に精神衛生上よくないもので、じっくり滞在した。

 

St Pancras

ロンドンを離れる時が来た。ここからユーロスターに乗って海峡をくぐり、ベルギーのブリュッセルへと向かう。イギリスはシェンゲン圏ではないためユーロスターに乗るためにはしっかりとパスポートチェックが必要で、他の導線とは一切隔離されている。さながら駅に空港が同居しているようだった。

イミグレーションといっても国境の駅で全員降ろされて入国審査を受けることはなく、出発地側で出国と入国を同時に実施する形になる。たとえばロンドンからブリュッセルに向かう場合、ロンドンの駅でイギリス出国とシェンゲン圏入国を同時に済ませる形だ。日本人の場合、イギリスの入出国には自動化ゲートを使えるためスタンプの押下はされない。しかしシェンゲン圏への入出国には今のところ自動化ゲートは使えないため、しっかりとスタンプが押される。シェンゲン入出国スタンプはその手段に応じて飛行機、列車、船、車の4種類のデザインがあり、ここでは列車のスタンプだ。実はこの列車入国スタンプが欲しかったというのもわざわざロンドンに寄った理由である。乗客としてはベルギーまで向かうとしても、線路としてはイギリスの次の国はフランスなので一度も地面を踏まずにフランスの入国スタンプが手に入った。

 

40分ほど待合室で乗車案内を待ち、ようやくコンコースへ。入出国を同時にするので免税店ではなかった。

というわけで乗車ホームへ。国際列車ユーロスターに乗って一路ブリュッセルへ向かう

 

続き

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