A340という言葉を知っているだろうか?
航空を少しかじったことのある人であればすぐに察するであろう。これはエアバス社製造の航空機である。少しネットの情報を参照すると、この飛行機は長距離用の大型ワイドボディ機であり、あのジャンボジェットB747やお化けジェットとも呼ばれるA380のように4発機である。B747やA380が2階建てであることを考えるとこのA340がいかに大型であるかがわかるであろう。主にドイツのルフトハンザ航空が運用していたものである。
このA340には大きな特徴がある。それは、貨物室部分にトイレモジュールを設置できるということである。通常、航空機の客室下部には貨物室が備えられており、空港でコンテナがリフトアップされて機体に格納される姿を見たことのある人も多いであろう。その貨物室を一部潰し、代わりにトイレを配置することができる。これにより、本来トイレが存在するはずの客室空間を座席に充てることができ、多くの人を搭乗させることができる。
さて、このA340の特徴でもある地下トイレ。私にとっては悪夢のような出来事があった場所である。
10年ほど前、家族でイタリアに行った。この時は関西空港からドイツのフランクフルト空港で乗り換えてイタリアへと向かう計画であり、その時の関空~フランクフルトの機材がルフトハンザのA340であったのである。
往路は特に何も起きなかった。強いて言えば、10時間以上の長距離フライトで退屈であったことと、国際線のイメージであった座席ごとのモニターが無く、代わりに機内の大型モニターがあった点が不満であった。座席ごとのモニターなら好きな物が見れるがこれでは興ざめである。結局レミーの美味しいレストラン(だっけ?)を見たのはよかったものの、アイアンマンとか他の映画が始まると興味もなく退屈になってしまった。その点を配慮してなのか、機内配布の軍艦ゲームがあるのはよかったけども。
往路を乗り越え、無事イタリア観光を済ませ、最後のフライトのフランクフルト→関空。ここで事件が起きた。
フライトも中盤に差し掛かったころ、往路と同じくレミーの美味しいレストラン(2回目)を見終わった頃であろうか、私はトイレに行った。その地下トイレである。
実際設備は綺麗であった。ウォシュレットがついてたかどうかは記憶にはないが、そんなにトイレ特有の汚さとかは感じられず、デパートのトイレのように手入れが行き届いていた。
事を済ませ、階段降りて右側の手前のトイレ(やっぱり鮮明ですね)から出る。あとは階段を上がり自分の席に戻るだけであった。すると、階段の上の部分に白人の女性が一人立っていた。
この階段は人が2列になって並ぶことのできるものであった。私も、単純にその女性が降りてくるだろうと思い邪魔にならない場所から登ろうとした。その時であった
ビチビチビチビチィィィィッツ!!!!!
左頬に液体が触れたような感触がした。
見上げてみると、これから上る階段が黄色になっているし、さっきまで立っていた女性もしゃがんで口から黄色い何かを出している。
そう。あろうことかその女性は階段上でリバースしてしまい、そのモノが階段で跳ねて私の左頬にタッチしていたのだ。生まれて初めてだよ。人のゲロを浴びるのは。
もちろんさっきまで入っていたトイレに戻り、紙で必死に触れたところを拭く。もう無理、気持ち悪い。
しばらくして、十分拭けたかなと思ったので個室を出て、その黄色い階段を手すりに掴まりながら必死で回避し、自分の席に戻ったのであった。